2019年6月19日水曜日

「日本の考古学Ⅱ 縄文時代」河出書房新社(昭和40年初版)

ジャレド・ダイアモンド著「銃・病原菌・鉄」 9

2019.06.15記事「自己触媒的食料獲得量増加」の後日譚を書きます。
Twitterでpolieco archeさんから頂いたコメントに出ていた次の図書を入手しました。

「日本の考古学Ⅱ 縄文時代」河出書房新社(昭和40年初版) 箱カバー
関東(岡本勇・戸沢充則著)の早期に「縄文時代における上昇期の問題」という項目があり、次のような趣旨のことがらが述べられています。
「野島式、鵜ヵ島台式、茅山下層式の土器の時代は過去の時代と比べて遺跡の増大が見られる。集落の立地も新たな地形条件を利用している。遺跡分布も広大に広がる。全身磨製石斧による森林伐開技術の高揚、釣針大型化による漁獲魚種増大、多量石鏃生産による狩猟発展が見られる。
これら労働用具の分化・改良・量産は生産諸力の発展をもたらし、人口を増加させ、労働手段や協業を発達させ、縄文時代の社会と文化を大きく上昇させたとかんがえられる。」

縄文時代の「ゆるやかな発展」のなかで特定時期に「上昇期」があったという趣旨の概念を提示しています。

この「上昇期」は2019.06.15記事「自己触媒的食料獲得量増加」で書いた「縄文時代における自己触媒的食料獲得量増加の可能性」の考え方とほとんど同じ考え方です。自分が持った感想と同じ概念を54年前に専門家が述べていることを知ることができました。polieco archeさんに感謝します。
この情報により次の感想を持つことができました。
1 縄文時代専門家による「上昇期」のその後の研究の深まりを是非とも知りたい。
2 「自己触媒的食料獲得量増加」の自分なりの考察を深め、海外事例等も収集して、社会発展のパターン検討の材料を増やしたい。

「日本の考古学Ⅱ 縄文時代」河出書房新社は読みやすい感じの図書なので、まさに芋づる式になりますが、割込みで必要ケ所を読んでみたいと思います。現在最新知識の意義を確認できる図書になるかもしれません。

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余談 1
この図書は定価1円(発送料257円)でAmazonから購入しました。使用感はゼロで箱カバー、付録も付いています。紙質もほとんど劣化していません。誰かが50年前に購入して風通しのよい書斎書棚に置き、1度も読まれることがなかったと想像します。そしてその持ち主が亡くなり、書斎のモノが一切合切ゴミとして廃品回収業者に多額の現金と一緒に渡されたと空想します。廃品回収業者はこの図書を1円で出品すればすぐ売れるので、発送料込258円で売ったのです。発送料の中に儲けが入っているとともに、その前にゴミとして受け取る時に既に儲けが出ています。
定価1円で買った私は内容面で知的満足感がとても大きいとともに、その満足感のコストパーフォーマンスは絶大です。

余談 2
この図書の箱カバーにこの図書のシリーズが列挙されています。Ⅲ弥生時代の編者は和島誠一となっています。
大学生だったころ自分の専門とは無関係学部で、かつ遠いキャンパスにでかけ、和島誠一先生の考古学を1年間受講したことを思い出します。頭が光る好々爺という感じの先生でした。戦前満蒙考古調査の話などを聞いた憶えがあります。石棒の趣旨もこのときはじめて知りました。自分の専門単位と無関係なのによく受講したものです。半世紀前の出来事です。

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