2018年11月14日水曜日

最古の土器

「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社) 10

「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)に収録されている「討論-縄文時代のはじまりをどうとらえるか-」の小項目「最古の土器」を学習して、気が付いたことや要点の抜き書きなど、メモを作成します。

1 最古の土器
前記事(2018.11.08記事「縄文時代と旧石器時代の区分」)の感想で「・掲載図(土器のはじまり)では中国河南地域の年代は18000年となっています。一方文章中ではこの数値には着目がありません。何か理由があってそうなっていると思います。」と書きました。
この疑問に直接答える記述がこの項目に書いてありました。
要点は次の通りです。
ア 中国の玉蟾岩(ぎょくせんがん)洞窟遺跡で18000年前土器が見つかったという報道(2009年)について
・土器付着物ではなく、土器出土層準の動物骨や炭化物を測定している。古くて18000年前、新しくて15000年前の可能性がある。

玉蟾岩洞窟から出土した土器に関連する層序の年代

イ 日本で一番古い土器の年代測定は1998年でおおよそ16000年前から15000年前の間にこの土器が使われた。

参考 大平山元Ⅰ遺跡の土器付着物の年代測定結果

ウ 玉蟾岩洞窟遺跡の年代が一番古い場合は日本列島最古の土器よりも古い年代になり、土器出現の契機として重要になる。

エ 年代が新しいものが正しい場合、日本列島最古の土器と近い年代になり、東アジアの土器出現の契機を考える場合重要になる。今後いろいろ検討したい。

オ 玉蟾岩洞窟遺跡ではイネのプラントオパールが出ていて、土器発生の契機として、イネ科植物、野性イネの利用が注目される。

カ 土器が18000年前の寒冷気候のなかで発生したとなると、イネ科種子が多かったとは考えられないが、イネ科植物種子の利用が土器発生の一つの契機となると考える。

2 感想
中国の土器出現が18000年前にさかのぼるという情報は学術界で十分に咀嚼されていないようです。日本の学者は半信半疑で眺めているようです。
中国の土器出現が18000年前とすると文化の流れは中国→日本ということも考えられます。一方15000年前だと考えると、東アジアで同時発生したと考えることもできます。ナショナリズム的感情も絡む思考になります。
土器出現とは、植物を動物の肉・骨と一緒に煮て美味しく食べるの道具発明であり、その発明が氷河期に行われたと考えておくことにします。

2018年11月8日木曜日

縄文時代と旧石器時代の区分

「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社) 9

「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)に収録されている「討論-縄文時代のはじまりをどうとらえるか-」の小項目「縄文時代と旧石器時代の区分」を学習して、気が付いたことや要点の抜き書きなど、メモを作成します。

1 縄文時代のはじまりの時代区分について
・縄文時代のはじまりとは縄文文化のはじまりである。
・縄文文化をとらえる要素として土器、弓矢、定住的生活・住居跡、磨石・石皿、土偶、貝塚などがある。
・土器→弓矢→定住化→土偶という順番で変化がおこり、土器の出現によっていろいろな変化が起きた。
・もっとも大事なのは土器である。
・世界の土器のはじまりは日本、中国河南地域、アムール川流域で15000年前にさかのぼる

土器の始まり 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

・縄文時代区分には3つの考えがある。
1 縄文土器出現をもって縄文時代のはじまりとする考え。
2 縄文土器出現から縄文文化要素が出そろうまでの期間を移行期とする考え。
3 縄文土器が一般化する時期をもって縄文時代のはじまりとする考え。

縄文時代のはじまりをめぐる時代区分の比較 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用 

2 感想
・何故、土器→弓矢→定住化→土偶という順番で変化が起きたのか、その理由について直観的にわかりません。なぜ土器なのか、さらに学習(思考)したいと思います。
・何故、日本列島の土器が(あるいは東アジアの土器が)世界的にみて最古なのか、その理由が直観的に判りません。さらに学習(思考)したいと思います。
・掲載図(土器のはじまり)では中国河南地域の年代は18000年となっています。一方文章中ではこの数値には着目がありません。何か理由があってそうなっていると思います。
・縄文のはじまりの時代区分は、どの区分方法が一番研究促進に役立つか、あるいは一般社会に理解してもらえるかということで決まるのだと思います。いずれの区分を採用するにしてもさらに細区分をして研究成果を投影することになると考えますので、1の区分が単純で一般人にも理解できるという点で最も優れていると直観します。