猪の文化史考古編 20 (最終回)
この記事では「猪の文化史考古編」(新津健 2011 雄山閣)の「第2部 古代文化を彩る猪-弥生から古墳、そして歴史時代へ-」の学習をします。「猪の文化史考古編」学習の最終回となります。
1 弥生の猪
弥生時代の銅鐸絵画に猪の狩猟シーンがあります。
銅鐸の猪狩猟シーン 「猪の文化史考古編」(新津健 2011 雄山閣)から引用
猟師、猟犬、猪が描かれています。
弥生時代になると縄文時代とは状況が変わり猪は田畑の作物を荒らす害獣として駆除の対象となります。排除の対象になります。
2 古墳時代の猪
埴輪に猪が登場し、埴輪群でイノシシの狩猟シーンが展示されるようになります。
埴輪に登場する猪、猟犬、猟師 「猪の文化史考古編」(新津健 2011 雄山閣)から引用
埴輪群による狩猟シーンの展示は「王の狩」であり、狩猟儀礼の再現や権威・権力の誇示という側面から考察されています。
3 奈良時代以降の猪
射手と猪の組み合わせは奈良時代以降中世・近世まで説話・伝説として生き続けました。王権を誇る条件の1つが「猪の征討」であったのであり、猪の力の強大さに始まるストーリーでもあったといえます。
感想
「猪の征討」が蝦夷征討など服従しない縄文人末裔征討とも関連すると理解しました。
弥生時代以降「縄文人が猪を祈りの対象としていて関わりが深い」ので、服従しない縄文人末裔征討を強引に猪征討と関連付けたのだと思います。
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4 「猪の文化史考古編」(新津健 2011 雄山閣)学習の感想
・縄文時代の猪に関する土器・土製品について、自分が学習している大膳野南貝塚や西根遺跡、上谷遺跡などとの関連で興味を抱きました。
・図書に掲載されている図版・写真が、自分の老化が進んだ眼球にとってはあまりにも小さすぎたり、つぶれていたり、鮮明さが欠けていて、最初は読書気力が湧きませんでした。また図版・写真を文章で説明している場合、立体物であるだけにそれがどの箇所の説明に当たるのか判然としない場合がかなりありました。恐らく現物や同じ図版・写真を既にみたことのある専門家が読むことを暗黙の前提として図書が編集されたものと感じました。
・そのため仕方なく図版・写真をパソコンで拡大したり調整して観察しましたが、その結果この図書が形成する猪世界に引き込まれ、学習に熱中することができました。
・著者は縄文時代猪に関する発掘情報を悉皆的に収集して整理しているので、縄文時代人の猪に関する活動や思考を体系的に理解できるように図書が編集されていて、その結果自分の学習が大いに進みました。
・「猪への祈りのまとめ」は大膳野南貝塚学習や西根遺跡学習に大いに参考になっています。
・弥生時代以降の学習は改めて熱中するチャンスをつくることとして、今回の学習は縄文時代をメインとしました。
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