2019年4月10日水曜日

持てるものと持たざるものの歴史

ジャレド・ダイアモンド著「銃・病原菌・鉄」 6

ジャレド・ダイアモンド著「銃・病原菌・鉄」の学習をページを追ってしています。この記事では「第5章 持てるものともたざるものの歴史」を学習します。この章は持てる者の発生を較正年代で提示しています。

1 食料生産の地域差
著者は次のように述べています。
「人類史の大部分を占めるのは、「持てるもの(Haves)」と「持たざるもの(Have-nots)」とのあいだで繰り広げられた衝突の数々である。」ジャレドダイアモンド.銃・病原菌・鉄 上巻から引用
持てるものとはつまり食糧生産を早期にはじめた集団です。
著者は考古学のC14較正年代により食料の生産が独自に始まった地域とよそから持ち込まれた家畜や農作物がその土地の野生種の飼育栽培化の「基盤」となった地域を整理しています。

食料の生産が独自にはじまった地域

飼育栽培化された動植物の例

食糧生産が最初にはじまった地域は限られていて、その地域からの影響の過程を経て「食料生産を他の地域に先んじてはじめた人びとは、他の地域の人たちより一歩先に銃器や鉄鋼製造の技術を発達させ、各種疫病に対する免疫を発達させる過程へと歩みだしたのであり、この一歩の差が、持てるものと持たざるものを誕生させ、その後の歴史における両者間の絶えざる衝突につながっているのである。」とこの書の結論になる記述をしています。

2 食料生産が独自にはじまった地域と縄文土器の較正年代対比
食料生産が独自にはじまった地域と縄文土器とは直接の関係はありません。しかし双方の情報を同じ次元で見るために較正年代で対比してみました。

食料生産が独自にはじまった地域と縄文土器の較正年代対比

よそからの影響で野生種飼育栽培がはじまった地域と縄文土器の較正年代対比

3 感想
・人類が農耕牧畜をはじめた時期が縄文時代早期(撚糸文土器頃)であることを知りました。
・土器が食糧確保の道具であると考えると、人類史とみれば、土器の発明による食料確保の段階があり、その次の段階として農耕牧畜の発生があるという順番になります。
・中国に農耕牧畜が発生してから5000年間の間(縄文早期中頃~晩期)、列島縄文人が農耕牧畜を取り入れなかった(拒否した)理由に興味が深まります。
・「食料生産が独自にはじまった地域と縄文土器の較正年代対比」図を作成することによりジャレド・ダイアモンドが示す人類史の興味と、縄文土器学習(=縄文社会学習)の興味の双方が加速的に深まります。

0 件のコメント:

コメントを投稿