設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)学習 7
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)の「縄文土偶の顔」の「縄文人の通過儀礼」を学習します。
1 ダブルハの字文
この節では土偶と風俗にかんする研究・論争の歩みに触れるとともに、縄文時代に通過儀礼として顔のイレズミ、抜歯などが存在し、縄文後晩期になるとそれらが強化され、社会の危機的状況と対応していることが述べられています。
この中で高山純著「縄文人の入墨」にもとづいて、「ダブルハの字文はイレズミを実際に表現するもっとも古い様式だといっていよい。」と記述されていて、興味が深まります。次の写真が例示されています。
ダブルハの字文の顔のある土器
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
同上拡大
土偶に描かれる様々な文様のなかでダブルハの字文がイレズミと特定された研究について知りたいと思いますが、残念ながら高山純著「縄文人の入墨」はwebで検索しても千葉県立や千葉市立図書館を検索してもありつくことが出来ませんから、いつかありつけるまで我慢することにします。
2 これまで観察した土偶のダブルハの字文
これまで展示施設で観察してSketchfabに投稿した土偶3Dモデルは40弱ありますので、それをざっと見てみました。
ダブルハの字文と思われるもの1点とそれダブルハの字文以外の線分が顔に描かれたもの7点を確認しました。
2-1 ダブルハの字文
ダブルハの字文と考えられる例
2-2 ダブルハの字文以外の例
「ダブル逆ハの字文」とでも呼べる例
逆「ハの字」で多数線分
逆「ハの字」で線分1本
ハの字+目の下+顎 ?
逆「ハの字」で多数線分
逆「ハの字」3本+目の下
目から放射状
3 感想
これまで口元の逆「ハの字」線分は土偶(女神)が殺害されるときに口から出る血しぶきを表象していると空想してきています。
高山純著「縄文人の入墨」を入手できて読んだとき、どのような感想が自分の中に生まれるのか、超楽しみです。
後晩期土偶は生贄の身代わり土人形(女神)であると想像しています。
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