設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)学習 12
この記事では設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)の「弥生時代の顔の表現」の「鳥装と非黥面起源」を学習します。
1 黥面と非黥面
弥生時代に入ると黥面のある顔の造形と黥面のない顔の造形が現れ、黥面のある顔の造形は縄文時代からの系譜であり、黥面のない顔の造形は朝鮮半島経由で伝わってきた鳥装や戦争を伴う文化の系譜であることがこの図書に詳しく説明されています。
黥面と非黥面の顔造形
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
2 鳥装
この図書では鳥装と戦争文化が弥生時代に朝鮮半島経由で伝来し、多様な鳥装造形が説明されています。
1の「黥面と非黥面の顔の造形」の非黥面の顔の造形には頭に隆起帯があります。それは鳥の羽冠を意識した飾りであり、斜め上を見上げる顔は信仰する鳥を見上げている可能性が説明されています。
次のような羽装束による踊りや羽冠の飾りを付けた戦士の姿などが詳しく説明されています。
鳥装人物
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
戦士
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
戦士
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
参考 古墳時代 水鳥形土製品 千葉市南二重堀遺跡出土
千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室展示
弥生時代の鳥の信仰は「鳥は空を飛ぶ。弥生時代に空のかなたにはあの世があり、鳥はあの世である祖先の国から稲穂をたずさえ、穀霊をのせてこの世に飛来すると考えられていたというのが一般的な解釈である。」と説明されています。
また、鳥は縄文時代の信仰の対象では無かった。少なくとも好んで土製品や絵画の材料にされることは無かったと説明されています。
3 感想
縄文時代の男女ともに行われたイレズミが弥生時代になると男だけになり、さらにイレズミ習慣のない外来文化の影響も強まっていった様子を理解することができました。
鳥信仰(鳥装文化)が弥生時代から始まる外来文化であることを理解できました。この理解により自分の学習の一部を根本的に転換させる必要が生まれました。過去学習2件(西根遺跡、雷下遺跡)で、縄文木製品の解釈で鳥を登場させています。この解釈の是非を根本的に精査して学習し直す必要があります。同時に、確かに縄文遺物で鳥の登場はほとんど見ないが、縄文人が鳥に対してどのような気持ちを持っていたのか、詳しく知りたくなります。次の土器について、鳥の形状に似ていると感じたことがあったのですが。それは単なる「他人の空似」だったのか、確かめる必要があります。
阿玉台式土器「注口付舟形鉢形土器」(八千代市ヲサル山遺跡出土)展示状況
八千代市立郷土博物館展示
舟形は現代人からみた形容であり、鳥をイメージして造形されたかもしれないと空想しました。
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