設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)学習 15
この記事では設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)の「弥生時代の顔の変容」の「顔壺にさぐる黥面の継承と変容」の一部について学習します。
1 鳥が飛ぶ空を見ている弥生時代の顔
人頭土製品 (西川津遺跡出土、島根県教育庁埋蔵文化財調査センター所蔵)
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
顔壺 (三島台遺跡出土、市原市教育委員会所蔵)
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
ともに弥生時代の稲作に関連する鳥信仰に因り、鳥が飛ぶ空を見ている顔の例として紹介されています。本書では弥生時代の鳥信仰が詳しく紹介されていて「鳥が飛ぶ空を意識している」という解釈にとても説得力があります。
人頭土製品の頭の突起は鳥に化身するための羽冠のようです。
2 メモ
鳥が飛ぶ空を見ている顔というモノがあることを初めて知りました。
翻って、自分が観察した縄文土偶をあらためて眺めて、顔が何を見ているか観察してみました。
私が観察記録3Dモデルを作成した土偶で顔の角度が判るものの例 1 https://skfb.ly/o6VBR
私が観察記録3Dモデルを作成した土偶で顔の角度が判るものの例 2 https://skfb.ly/o6VBR
私が観察記録3Dモデルを作成した土偶で顔の角度が判るものの例 3 https://skfb.ly/o6VBR
1~3は3Dモデルで観察して、体と頭(顔)に角度はついていません。顔は正面を向いています。土偶製作者が、土偶が自分を見るように造ったのだと思います。
私が観察記録3Dモデルを作成した土偶で顔の角度が判るものの例 4 https://skfb.ly/o6VBR
縄文のビーナス(左)は(丸い穴から出てきたような)顔は正面を向いていますが、帽子のような髪は後ろに傾斜し、人体頭部は明らかに斜め上を向いています。
縄文のビーナス https://skfb.ly/oo7xE
仮面の女神(右)の仮面は斜めについていて、側面から見ると顔に角度がついているようにみえます。つまり顔は斜め上を見ています。
仮面の女神 https://skfb.ly/oorzv
飛ぶ鳥のいる空を見つめている弥生の顔の存在を知ったおかげで、縄文土偶の顔のうち上を向いているモノがあることに気が付き、強い問題意識が生まれ、学習意欲をかきたてられます。
・縄文のビーナスの頭部は上を向いているのに、顔はなぜ正面をむいているのか?
・仮面の女神は何を見つめているのか?
・上を向いている縄文土偶はどの程度あるのか、それらは何を見ているのか?
縄文土偶の顔の角度については、場所をブログ「花見川流域を歩く」に改めて詳しく検討を続けることにします。
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