2021年10月10日日曜日

顔からみた弥生文化の四つの特徴

 設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)学習 17

この記事では設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)の「異形の精神史-エピローグ-」を学習し、最終回とします。


設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)カバー

1 顔からみた弥生文化の四つの特徴

本書では、顔からみた弥生文化の四つの特徴を縄文文化や古墳・律令期との比較で次のようにまとめています。

1 戦争と辟邪思想のはじまり

2 男女間のパワーバランスの変化

3 支配・被支配にもとづく不平等な格差社会の出現

4 大陸との交通関係の頻繁化、緊密化によるグローバリゼーションの拡大

縄文時代の土偶は辟邪思想はうかがうことはできず、敵対するものはいなく、いずれも祖先祭祀にかかわる表現です。戦争が男女間のパワーバランスを変化させ、中央と周縁世界の形成によりマイノリティーが出現しました。これらの現象が顔の造形に変化をもたらしました。

2 弥生時代の戦争の実態

弥生時代の戦士の絵画は、エジプトやアッシリアの壁画、中国の兵馬俑などにくらべれば緊迫感を欠いた子どもの絵のようなものである。


弥生時代の戦士の絵画


アッシリアと中国の戦士像

3 感想

この本を読んで弥生時代とその前後の顔の変化を詳しく知ることができました。また最後の弥生時代の戦士の絵は大陸の戦士の絵とくらべて「緊迫感を欠いた子どもの絵のようなものである。」との強烈な指摘は、弥生時代の戦争は、世界史的視点から俯瞰的にみなければその特質はあぶりだせないことを示しています。

この本をよく読むと、自分にとっては新しい知識ばかりで、次から次へと確認したい事柄とか、疑問が湧いてきます。それらの検討を深めればまだまだ学習を続けたくなります。しかし、この本だけでなく、著者の別の著作物もぜひとも読みたくなっていますので、思い切ってここら辺で学習を一端区切ることにします。

先端的知識や巧みな考証論理展開が見られるこの興味深い図書を出版された設楽博己先生に感謝申し上げます。


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