2022年1月24日月曜日

「シルクロード1万5000キロを往く」読前感想

 Impressions before reading the book "Going 15,000 km on Silk Road"


The book "Going 15,000 km on Silk Road" (Kokon Shoin, 2021) was given by the author, Keiji Nakaie. I have a strong interest in the geography, terrain, and archaeological sites of the Taklamakan Desert and its surroundings, so I haven't read all of them yet, but I wrote down my interests as a pre-reading impression.


今村遼平・中家惠二・上野将司編著「シルクロード1万5000キロを往く(上、下)」(古今書院、2021)を編著者の中家惠二さんからいただきました。その内容に強い興味を持ちましたので、まだ全部読んでいませんが、自分の興味を読前感想としてメモします。

1 図書の概要

この図書は、著者達がタクマラカン砂漠を中心に展開される陸のシルクロードを全て旅してみたいと思い、それを実現させ、その記録をまとめたものです。著者達のグループは地形・地質を主な業とする人々であり、歴史文化の体験のみならず、砂漠や山岳の専門的立場からの体験も随所で書かれています。2011年~2018年までの4回の旅行について月刊「地理」(古今書院)に連載してきたものをまとめたものです。


表紙

図書の構成

上巻…第Ⅰ編天山南路、第Ⅱ編天山北路

下巻…第Ⅲ編西城南道、第Ⅳ編河西回廊


旅行ルート図

2 感想

2-1 自分もいつか行ってみたい

このグループはタクマラカン砂漠周辺の新疆ウィグル自治区を縦横無尽に旅行しています。私もとても興味のある土地であり、ぜひとも旅行したいと思っていたのですがこれまで実現出来ませんでした。うらやましい限りです。パンデミックが終わり、海外旅行が自由になったあかつきにはぜひとも行ってみたいと思います。

その時のために、この旅行記を読み返し、事前勉強を楽しむことにします。

タクマラカン砂漠周辺の新疆ウィグル自治区の土地ついて、これまで次のようなブログ記事を書いています。

天山山脈の氷河


キルギスとの国境付近の天山山脈氷河(サマルカンドへ向かう機中から)

南西タクマラカン砂漠

ロプノール

タクマラカン砂漠

Bogda Mountains China

Colorful Faults of Xinjiang China

天山山脈の空 2

天山山脈の空

なお、タクマラカン砂漠や新疆ウィグル自治区には行ったことはないのですが、隣国といってもよい近隣のウズベキスタンには夫婦で旅行したことがあります。サマルカンドやブハラ、さらに砂漠を越えてヒヴァなどを訪問し、歴史文化と人情、砂漠に接し「シルクロード1万5000キロを往く(上、下)」で書かれている内容と類似した体験をしています。その体験から、タクマラカン砂漠と新疆ウィグル自治区に対する思いは強くなっています。

2-2 ニヤ遺跡の思い出

「シルクロード1万5000キロを往く(下)」の第Ⅲ編西域南道の「10且末(チャルチャン)から和田(ホータン)へ」で尼雅(ニヤ)河を渡ることとか、民豊(ニヤ)で昼食を食べたことが書かれています。このグループは行っていませんが、このニヤ河の下流(砂漠の中)にニヤ遺跡があります。ニヤ遺跡は行ったこともないのにとてもなつかしい場所です。


ニヤ遺跡の様子 スタイン発掘地点 「北支・満蒙の地理」(保柳睦美、復刻図書[大空社])から引用


Niya site where Aurel Stein found wooden tablets

Niya ruins Wikipedia(英語版)から引用

(ちなみに、上の2枚の写真は同一サイトのようです。)

大学時代、教養の「人文地理学」という講座で保柳睦美教授が、ご自身が参加した戦前の国策タクマラカン砂漠探検調査の話をされ、その中でニヤ遺跡について詳しく話されたことを鮮明におぼえています。とても興味を持ちました。その講義で保柳睦美教授はご自身で上記スタイン発掘地点写真付近のニヤ遺跡情景を手書き絵画で大判ポスターに仕上げ大教室に掲示されて、とても迫力があるものでした。現場を見た人間が手書きした絵であり、強く印象に残りました。

その後20年以上たって、佐原市にある伊能忠敬博物館(まだボロボロの小さい建物だった頃、今は伊能忠敬記念館で立派な建物)を家族で訪ねた時、廊下にこのこの保柳睦美教授が書かれたニヤ遺跡手書き絵画が無造作に置かれていました。大学出てから20年近く経って、再びニヤ遺跡手書き絵画を偶然見れて興奮したことを思い出します。(今からいえば30年以上前のことです。)多分、保柳睦美教授は地理学者ですから、国土地理院の地理学関係者とつながりがあり、国土地理院地理学関係者は地図で伊能忠敬博物館とつながりがあり、そうした人脈でニヤ遺跡を含む学習教材が保管場所を求めて移動したのだと思います。

ニヤ遺跡に行ってみたいものです。しかし、Google earth proで観察するとスタインや保柳睦美教授が探検した時と同じようにまだ遺跡が野ざらしで発掘されていません。「シルクロード1万5000キロを往く(下)」の尼雅(ニヤ)河渡河前の記述では発掘されていない遺跡に近づくと厳しく写真撮影が禁止される様子が書かれています。現地に行ってみなければ判りませんが、観光的には現場に往けないかもしれません。

なお、保柳睦美教授のタクマラカン砂漠探検調査は次の図書にまとめられています。


保柳睦美著「北支・蒙古の地理」左復刻版表紙(大空社)、右原本(古今書院、昭和17年)

この図書再読も「シルクロード1万5000キロを往く(上、下)」読書と一緒に行うことにします。

保柳睦美教授が参加したタクマラカン砂漠探検調査には若き考古学者和島誠一さんも参加されています。

2-3 感謝

中家惠二さんとは日本最初の応用地理の建設コンサルタント会社である「株式会社地域開発コンサルタンツ」でご一緒したことがあります。また筆頭編著者である今村遼平さんもその頃別会社とはいえ同じフロアで間仕切りもない場所にいて、いろいろとご指導していただいたことを思い出します。この素晴らしい本をきっかけにしてタクマラカン砂漠や新疆ウィグル自治区に対する興味と学習を深めるきっかけが生まれました。中家惠二さんと編著者の皆さまに感謝します。

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