2018年2月10日土曜日

縄文の思想

縄文の思想 5

この記事は「縄文の思想」(瀬川拓郎 2017 講談社現代新書)の「第4章 縄文の思想-農耕民化・商品経済・国家の中の縄文」の感想メモです。

1 現代にまで伝わる縄文の思想
本章では、アイヌ、海民、南島などに伝わる縄文の思想について「呪能と芸能」「贈与と閉じた系」「平等と暴力」などのテーマで詳しく論じています。
記述されていることのいくつかの内容は著者の別の図書あるいは過去の読書で予備知識があり、それらをよりどころにして細部情報が織りなす壮大なストーリーを理解し感服することができました。
だれも語らないことを語っていて、考古歴史に対する興味が倍増しました。
最後に著者が述べているように、「本書は、この網野の海民論に折口信夫のまれびと論を接合しながら縄文へ遡及しようとする試みであり、ともに列島の基層の思想を明らかにしようとした二人の偉大な研究者が、射程におさめつつ果たすことのできなかった縄文へのアプローチに、ひとつの具体的な方法を示そうとするものなのです。」
網野善彦や折口信夫を機会をみつけて読み直したくなりました。

2 参考 興味事項
千葉県船橋市印内台遺跡から卜甲が出土し、「東国の卜部集落とみられている遺跡です」と記述されていて、自分にとって身近な遺跡(以前直近に居住)なので、特殊的に興味を持ちました。

日本列島と朝鮮半島の卜骨出土遺跡
「縄文の思想」(瀬川拓郎 2017 講談社現代新書)から引用

印内台遺跡の資料 船橋市ホームページから引用

3 感想
これまで縄文時代の風習の残片が日本に残っているに違いないと考えていたのですが、そのような疑問に対する体系的な回答を本書から得ることができたという充実感を覚えます。著者に感謝します。

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