この記事は「縄文の思想」(瀬川拓郎 2017 講談社現代新書)の「第3章 神話と伝説-残存する縄文の世界観」の感想メモです。
1 古代海民とアイヌに共通する神話・伝説の2つの来歴
本書ではアイヌ神話・伝説と「古事記」「日本書紀」「風土記」の古代海民の神話・伝説との間に共通するモティーフがいくつかあり、その来歴に2種類あったことが述べられています。
一つは縄文時代の日本列島に普遍的に存在した神話を、アイヌと海民それぞれが伝えたもの。
もう一つは、弥生~古墳時代の北海道へ渡海してきた海民の神話・伝説がアイヌの祖先集団へ伝わったものです。
2 縄文時代オリジナル神話に起源をもつもの
前者つまり縄文時代オリジナル神話として、洞窟と高山という現実の空間を通じて可視化され、生者である海の神と死霊・祖霊である山の女神の交流という神話を多数の事例をあげて説明しています。
またその神話を王権が徹底して反転して通俗的な物語性を高めたものが日本書紀の話であるという指摘も行っています。
アイヌ・南島・羽黒山の類似性
縄文の思想」(瀬川拓郎 2017 講談社現代新書)から引用
3 海民からアイヌに伝わった神話
後者つまり弥生~古墳時代の北海道へ渡海してきた海民からアイヌの祖先集団へ伝わった神話・伝説として日光感精・卵生神話などをあげて説明しています。
4 感想
縄文時代オリジナルの神話・伝説にイメージが浮き彫りになり、とても有益な情報を学習できたと思います。
このような大局的イメージがさらに具体的地物(出土物)の意味説明レベルまで展開していくことを、将来に期待します。
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