この記事では「猪の文化史考古編」(新津健 2011 雄山閣)の「第2章猪の埋葬、そして祈り 3埋納された猪」の学習をします。
1 埋納された猪
●千葉県市川市向台貝塚
直径60~80cm、深さ50~60cmの土坑から首のない猪の幼獣2体が出土した。貯蔵穴が祭祀の場として利用されたもので、貝層を取り去った後の底から出土している。
頭部は別に用いられたことを意味する。
山梨県金生遺跡では幼い猪の下顎だけが115個体も発見されているが、これらは切り離された頭部の一部である。やはり、猪幼獣の頭部は何かに使われているのである。それは単に食べるための行為ではなく、頭部を捧げるあるいは敬うといった祈りにかかわる祭祀につながったものと考えたい。
●千葉県千葉市加曽利貝塚
第Ⅱ住居祉群22グリッドから上下の顎の骨を欠く猪個体が出土し、幼獣である。
●岩手県宮野貝塚
猪ばかりでなく鹿の頭蓋骨や下顎も含め並べられていた。
●千葉県船橋市取掛西貝塚
住居跡のくぼみに猪頭蓋骨12個やしか頭部2個体などが集中していた。中央部では猪頭蓋骨4個が意図的に並べられたような状況で動物儀礼が行われたと考えている。
2 考察
猪及び鹿などの頭部が儀式に使われ、頭部を欠いた体部が埋納された例が各所に見られることを知りました。
学習している大膳野南貝塚の後期集落では鹿頭骨列が出土していて何らかの祭祀に使われたものと想像しています。
参考 大膳野南貝塚後期集落 鹿頭骨列
大膳野南貝塚発掘調査報告書から作成
参考 鹿頭骨列復元空想図
ブログ花見川流域を歩く2018.01.22記事「鹿頭骨列の解釈」参照
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