2018年8月12日日曜日

縄文時代・文化の時空間的範囲

「つくられた縄文時代-日本文化の現像を探る-」(山田康弘、新潮選書) 2

「つくられた縄文時代-日本文化の現像を探る-」(山田康弘、新潮選書)を学習しその感想をメモしています。この記事では「第3章縄文時代・文化をめぐる諸問題-時空間的範囲」の感想をメモします。

1 縄文時代のはじまり
15000年程前から温暖化し、13000年前には再び寒冷化し、11500年前から本格的に温暖化したが、日本列島の最古土器は16500年前である。

日本列島最古の土器 「つくられた縄文時代-日本文化の現像を探る-」(山田康弘、新潮選書)から引用
このため温暖化に対応して土器が生れ、その時期が縄文時代の始まりであるとするこれまでの説明が出来なくなった。
現在は土器出現が縄文時代の始まりとする考え、土器普及が縄文時代の始まりとする考え方、縄文時代的な生業形態・居住形態が確立した段階をもって縄文時代の始まりとする考えの3つがある。

2 縄文時代のおわりと弥生時代のはじまり
弥生時代のはじまり(水田耕作の開始年代)が3000年前に遡るとする国立歴史民俗博物館の研究成果が出ていて、弥生時代のはじまりがこれまでより500年ほど古くなる可能性が濃くなり論争が盛んになっている。

3 縄文文化の空間的広がり
北は北海道を越えることはなく、韓半島との交流も極めて限定されている。また南島方面では縄文文化との強固な共通基盤が存在しない。縄文土器は日本列島内に収まっている。

4 日本列島外からの影響
玦状耳飾りはその起源が大陸側にあることは確実であり、縄文文化と大陸側の諸文化が全く無関係であったとは少々考えにくい。青銅製刀子出土など幾つかの具体事例とされるものもある。しかし大陸から渡ってきた人々と縄文人の交流は現状では推測の域に止まる。

5 感想
縄文時代のはじまりに関する学習はすでに別の図書でも知識を得ているのでよく理解できました。また次の図書の学習も予定しています。
小林謙一・工藤雄一郎・国立歴史民俗博物館編「縄文はいつから!?」(2011、新泉社)
弥生時代のはじまりに関する議論は現在の私の縄文時代学習(縄文時代後期・晩期遺跡の学習)の延長上にある興味になりますので、温めていきたいと思います。
縄文文化の空間的広がりについては既に山田康弘・国立歴史民俗博物館編「縄文時代 その枠組み・文化・社会をどう捉えるか?」(2017、吉川弘文館)で関連事項を学習しているのでよく理解できました。

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