設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)学習 2
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)の「方相氏と「鬼は外」の起源」で、弥生時代に紀元前漢帝国からもたらされた辟邪(へきじゃ)[邪悪なものを退散させる想像上の動物]としての方相氏に関する、日本における詳しい展開を学習することができました。私にとってはほとんど知識がゼロの分野ですからとても新鮮な学習となりました。興味を誘う魅力的な文章展開は発掘情報と豊かな文献情報がしっかりと結合しているから生まれたのだと思います。
私が理解した情報のなかで特段に興味のあったものを列挙します。
1 紀元前漢帝国の方相氏
方相氏が描かれた画像石
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
人を食っている巨人に立ち向かう方相氏が描かれています。方相氏はこの絵のように人間離れした獣のような姿や頭に武器を乗せたり、あるいは突起のようにかさ上げした頭部など異様にした姿で描かれます。異様な姿や憤怒の姿で邪悪を退散させます。
2 弥生時代終末3世紀纏向遺跡から見つかった木製仮面
木製仮面(桜井市纏向遺跡出土)
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
木製仮面出土土坑から盾の破片や鎌ないし戈(か)の柄の木製品が出土していて、木製仮面をつけた方相氏が活動していたと推察できます。
3 盾持人埴輪
盾持人埴輪(下は仮面をつけている)
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
古墳時代に古墳を邪悪から守るものとして盾持人埴輪がつくられたが、方相氏に起源を持つと考えられます。
4 平安時代の方相氏
法隆寺の乾闥婆面
設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用
平安時代の方相氏は黄金の四ツ目仮面をつけて赤と黒衣装の大男で、邪悪を退散させる儀式の役を演じたことが記録にのこっています。
方相氏は節分の豆まきや歌舞伎の見得ポーズや相撲の四股と深く関連しています。
また方相氏のすさまじい形相やいでたちが誤解・曲解され、方相氏はその後、鬼に転落(零落)しました。
5 感想
2021.03.04記事「設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)を読み始める」で引用した一つ目墨書土器の一つ目生物が壁邪であることがよくわかりました。
つづく
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