2018年9月14日金曜日

縄文時代のはじまりのころの気候変化と文化変化

「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社) 4

「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)に収録されている「縄文時代のはじまりのころの気候変化と文化変化 工藤雄一郎」を学習して、気が付いたことや要点の抜き書きなど、メモを作成します。

1 10万年に一度の気候変化
15000年前におこった気候変化というものは、10万年に一度の大きな気候変化でした。おそらくこれが人類活動に与えた影響というものは非常に大きかっただろうと考えられます。
この論文では縄文時代のはじまりに対応する15000年前頃から始まった気候変化が10万年に1回の大きな気候変化であることが詳しく述べられています。

過去15万年間の氷河・氷床の消長と縄文時代のはじまりの位置 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

同時に過去の気候変動に対応した海水準について最新情報が掲載されているので、今後の学習に直接役立てることができます。50年前に大学で得た知識を真に更新できました。

約25000~5000年前までの氷床の量と海水準の変動 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

海水準が120m・80m低かったときの日本列島の様子 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

この地図では細かい部分のイメージが湧きませんから、最新海底地形情報を入手して千葉県付近の-120m、-80m等深線図を正確につくりたいと思います。NASAのデータ入手にもチャレンジすることにします。

また人類の地球拡散のデータも最新情報として自分の頭にインプットします。

ホモサピエンスの拡散 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

2 縄文文化の出現
この地球規模での気候変化・環境変化がおこっている時期に、土器や弓矢、竪穴住居、石皿・磨石といった、いわゆる縄文文化を特徴づける要素がつぎつぎと、少しずつ時期を違えながら出現していました。

過去5万年間の出来事の年表 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

当面は旧石器時代や縄文時代初めころの学習にこの年表を常時利用したいと考えています。この論文を読んでひとまず「どの情報(本)を信用してよいのかわからない」状況を終了させることができました。

3 土器の出現
土器の出現は、従来一般的に説明されていたような、最終氷期から後氷期への気候変化、たとえば温暖化ということと因果関係で直接的に説明することはできないということもわかりました。ただ、その後の隆起線文土器の段階になってきて、土器が広がっていく過程と温暖化ということとはなんらかの関係があるかもしれませんが、現在ではまだ正確なことはわかっていません。

土器の出現の一般的な理解と年代観の変化 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

土器の出現がこれまで言われてきたような環境変化と植生変化の結果ではなく、異なる要因であることがわかり、それがなんであるか現時点では不明であることが判りました。「堅果類のアク抜きのために、魚油をとるために、貝を美味しく食べるために土器が発明された」という説明は過去の学説になったということです。

4 感想
何が最新情報であるのか分かったという点でこの論文は自分にとってとても大切なものとなりました。



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