山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習 13
「第二章土器使用のはじまり草創期(Ⅰ期)」の「2 草創期における各様相」の「フェイズ2における状況」を学習します。
1 フェイズ2における状況 概要と感想
・温暖化が始まった15000年ぐらい前から13000年ぐらい前の段階。
参考 旧石器時代末から縄文時代にかけての狩猟具の変遷と気候変動
堤隆著「狩猟採集民のコスモロジー 神子柴遺跡」(2013、新泉社)から引用・加筆
・「この頃になると植生も落葉広葉樹が多くなり、遺跡も台地や丘陵地へと進出していく様相を見ることができる。この頃に使用されていた土器は、口縁部に粘土の貼り付けによってミミズ腫れのような文様を付けた隆起線文土器群と呼ばれるものである。この時期には、日本各地において遺跡数も増加し、住居跡と考えられる遺構の発見例も増えてくる。」
→台地や丘陵地は旧石器時代から主要な狩場として利用されてきていますが、フェイズ2の段階ではじめて台地や丘陵地の狩猟キャンプでも土器を利用しだしたと理解します。土器が海岸や河川での生業で使われるだけでなく、狩場近くの逗留地でも使われるということは土器の利用の幅が広がったということで、堅果類の食用に使いだしたと考えます。また土器を所持するということから1箇所に定着する期間が延びたということ、つまり定着性が進んだというとも意味すると考えます。
→温暖化による植生変化という自然事象を、土器という道具を活用することによって、生活を有利に展開する条件に変えたことが縄文文化展開の根本的な基礎であると考えます。
・「縄文時代を代表する石器である石鏃の出土数も増加する。しかしながら、石鏃が出土しない遺跡も存在するので、この段階には弓矢の使用はまだ一般化していなかったのかもしれない。」
→弓矢の発明がいつ行われたのか、その契機(背景)はなにかなど学習を深めたいと思います。
→携帯弓矢と設置型仕掛け弓との関係も研究があれば知りたいと思います。
→この時期だけ矢柄研磨器が伴うのはなぜか、その疑問に対する答えを得たいと思います。
・「九州地方南部における人々の定着性(定住化傾向)は、他地域に先駆けて強くなっていたと考えられるだろう。」
・「北海道にも本州と同じ時期に土器文化が存在したことが明らかとなった。」
→九州地方南部と北海道の遺跡事例を発掘調査報告書等により今後学習したいと思います。
→九州の事例では「植物加工に用いられたと思われる石皿や磨石類(堅果類などを敲いてすりつぶすための丸い石)が目立つようになる。」のに対して、北海道の事例では「おそらくは川をさかのぼったサケ・マス類を土器で調理した痕跡である可能性が高いとされている(Kunikita,D.etal2013)。」という対比は土器利用の主目的が時間によって変化した様子を地理的に表現しているように理解します。
2 参考 隆起線文土器及び有舌尖頭器 3Dモデル
隆起線文土器片(44図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.353 processing 52 images
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.353 processing 42 images
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土土器、石器を多数閲覧して3Dモデル作成用撮影を行っていますので、それを材料にして時期設定して草創期フェーズ2学習を深めたいと考えています。
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