2020年4月19日日曜日

わかりはじめた植物利用のあり方

山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習 15

「第二章土器使用のはじまり草創期(Ⅰ期)」の「3 わかりはじめた植物利用のあり方」を学習します。

1 わかりはじめた植物利用のあり方 概要と感想
1-1 堅果類用貯蔵穴の存在
・氷期がおわりに近づきつつあった約一万五〇〇〇年前頃、地球環境は急激な温暖化に見舞われた。
・この温暖化によって多くの植生は、冷温帯性の落葉広葉樹林に急速に置き換わっていった。この新しい森の主役はドングリを実らせるナラ類であった。
・鹿児島県の東黒土田遺跡からは、縄文時代草創期のドングリ類貯蔵穴が発見されており、これは約一万三四〇〇年前のものという年代測定結果が得られている(工藤2011)。
・食用とするのにアク抜きを必要とする種類のものであったら、この時期にまでアク抜きによる植物加工技術はさかのぼると見てよいだろう。
→フェイズ1の最寒冷期に食糧不足を少しでも補う目的で土器が(おそらく魚貝類調理のために)発明されたと想像します。その後のフェイズ2の温暖化でその土器が堅果類アク抜きに「転用」され、それが結果として縄文人の主食確保につながり縄文社会の基礎ができたと素人考えします。
本来の目的ではない別目的で発明された道具が、突然の環境変化で思いもかけない重要機能を担うようになったという現象が発生したと理解します。
このような事象つまり「別目的で作られた道具が転用により社会発展の原動力になる」が人の歴史、古今東西の歴史に多数あるのかどうか興味が湧きます。
このような事象を単なる偶然として片づけてよいものか、それとも偶然以外の法則的な現象であると捉えられるのか、興味が湧きます。
→ドングリ類のアク抜きの方法や必要量・保管方法等について詳しく学習する必要性を痛感します。膨大な量の備蓄方法など。

1-2 クリの利用開始
・縄文人は、温暖化によって植物相が変化していく中で、木材として食料として、有用な樹木であるクリをいち早く見いだしていたのである。
・この時期にノビルやギョウジャニンニクといった植物が利用されていたこともわかっている。
・他、ダイズ属(ツルマメ)の土器圧痕も検出されており、当時の人々がすでにマメ類も利用していた可能性が高い。
→クリの活用、クリ林の管理については別に詳しく学習したいと思います。

1-3 ウルシの利用開始?
・鳥浜貝塚からは、約一万二六〇〇年前のウルシ材が出土している。ウルシは、本来、日本には自生しない外来植物であることから、ウルシがすでに草創期には日本に持ち込まれていたことになる。現状では、当時ウルシが何に使われたのか判断するのはむずかしいが、樹液を採集し、石鏃と矢柄を接着したり、土器を接合したりする接着剤として使われた可能性も否定はできない。また、すでにこの段階で漆器の製作加工の技術が存在した可能性も視野に入れておいてもよいかもしれない。
→ウルシの樹液による漆器製作にはウルシ液の保温等のために土器が必須ではないだろうかと考えます。土器が先行するからこそウルシ液活用が始まったと考えてよいか学習を深めます。

2 参考 加曽利B2式土器漆パレット再利用品

西根遺跡352番土器 内面 (千葉県教育委員会所蔵)
(観察土器は放射性炭素測定資料採取のためにあらかたの漆が除去されています。)

352番土器漆付着の様子
西根遺跡発掘調査報告書から引用
出土した時の漆付着の様子写真です。
ブログ花見川流域を歩く2019.06.04記事「加曽利B2式土器 西根遺跡 漆パレット再利用品

0 件のコメント:

コメントを投稿