2020年6月7日日曜日

鳥浜貝塚など低地遺跡

山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習 26

「第四章 人口の増加と社会の安定化・社会複雑化の進展 前期・中期(Ⅲ期)」の「2 低地遺跡にみる卓越した植物利用技術」の小見出し「縄文文化の研究の画期となった鳥浜貝塚の調査」「低地利用の一般化」「デーノタメ遺跡にみる土地利用」を学習します。

1 縄文文化の研究の画期となった鳥浜貝塚の調査
・海抜0m以下に縄文時代包含層が厚さ2mにわたって存在。→低地遺跡の再認識
・弓・石斧柄などの木製品、飾り櫛などの漆工芸品、ヒシや堅果類などの植物遺存体が出土。→「貧しい縄文人」イメージを一変
・淡水産貝殻層、魚骨層、堅果類層など廃棄された食物残渣(生ゴミ)が明確な層をなす。→生業形態の季節性
・植物学、動物学、各種理化学的分野による学際的研究→縄文人の年間を通じた計画的暮らし・生活のありかた、道具の使用方法などの研究レベル引き上げ

2 低地利用の一般化
・前期の山形県押出(おんだし)遺跡では低地部に盛土。
・埼玉県寿能遺跡では泥炭層の中から中期後葉以降の杭列・木道施設
→低地にアクセスしやすくするためのインフラ整備

3 デーノタメ遺跡にみる土地利用
・台地上の居住域と低地部の両方がセットで理解できる数少ない調査例。
・台地部…大きな環状集落
・低地部…「クルミ塚」、道の跡、土器を敷きつめた作業場、近くにウルシ林

4 感想
・鳥浜貝塚は早速資料を入手して学習を深めることにします。
・押出遺跡は「全国遺跡報告総覧」(奈良文化財研究所)から発掘調査報告書を入手することができました。早速学習を開始します。
・寿能泥炭層遺跡は今後資料を入手して学習を進めることにします。
・デーノタメ遺跡発掘調査報告書は北本市ホームページで公開されています。早速ダウンロードしましたので学習を開始することにします。カラー写真が多用されている見やすい発掘調査報告書です。「デーノタメ遺跡総括報告書(第1分冊、第2分冊、概要版)」(2019、埼玉県北本市教育委員会)

4つの低地遺跡
基図は地理院地図

・以前から低地遺跡出土木製品について興味がありました。2019年7月~9月には市川考古博物館で企画展「大地からのメッセージ-外かん自動車道の発掘成果-」が開催され、縄文早期後葉貝塚の遺物が展示され、展示木製品について強い興味をもちました。そのような経緯から、鳥浜貝塚、押出遺跡、寿能泥炭層遺跡、デーノタメ遺跡について参考資料を入手してよく読み、その学習結果を追ってブログ「花見川流域を歩く」の縄文社会消長分析学習の一環として記事にしたいと思います。
・木製品として祭具としてつかわれた「イナウ」が低地から出土し、それが木製品「イナウ」としては認識されていないという問題意識を密かなる軸として学習を進めたいと思います。(結果としてこの問題意識がトンチンカンなものでも、低地学習促進剤の役割をすればよいと割り切ります。)
縄文後期イナウ似木製品の意匠と解釈-印西市西根遺跡出土品の実見・分析・考察」(2018、荒木稔)

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