山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習 5
「プロローグ 縄文時代前夜」の2縄文時代の母胎に記載されている後期旧石器時代後半の石器群の様子をまとめてみました。
1 ナイフ形石器群
3万年ほど前から手持ち槍先と推定されるナイフ形石器と呼ばれる刃器を伴う石器群が主体となる。石器の形態や組成など地域性が認められ、資源開発の在り方によって小地域圏が形成されるようになっていた。
ナイフ形石器群の地域性
山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)から引用
2 西回りルート起源細石刃石器群
1万8000年ほど前に西回りルート起源細石刃石器群が本州に登場し、ナイフ形石器群を解消させた。円錐形や円柱形の細石刃核などを伴う。荒屋式彫器は伴わない。新しいものは豆粒文土器、隆起線文土器、爪型文土器を伴うので縄文文化の母胎の一つとなったと推測される。
3 古北海道半島における細石刃石器群
古北海道半島における細石刃石器群は湧別技法による楔型の細石刃核を持つ。2万4000年ほど前に登場し、1万7000年前ほどに本州域へ分布を広げ、本州域東北部では隆盛したが、長期にわたって存続できずその後の両面調整尖頭器を伴う在地性の高い石器群によって更新される。
参考 細石刃・細石刃核・植刃器の復元資料
千葉市あすみが丘プラザ展示室展示物
4 神子柴・長者久保文化(尖頭器石器群)
槍先の形をした大型の尖頭器や搔器・削器・大型石斧ないし大型片刃石斧からなる石器群で矢柄研磨器が伴うこともある。この石器群はシベリアのアムール川流域から沿海州に起源を持つとされる。最古の土器はこの石器群と同時に使用されていた。
神子柴遺跡出土尖頭器
伊那市創造館展示物
5 縄文文化の母胎
縄文文化の母胎は西回りルート細石刃石器群と尖頭器石器群(神子柴・長者久保文化)にもとめられることは間違いない。
その一方で、北海道で草創期土器文化がほとんど見つからないことと、朝鮮半島でも見つからないので、縄文土器は日本列島域内で誕生した可能性が極めて高くなる。
6 感想
・後期旧石器時代後半の石器群変化の様子と縄文土器発生の様子を詳しく理解することができました。
・房総の草創期土器は尖頭器石器群を伴っています。
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