2020年3月22日日曜日

縄文時代の時間的・空間的範囲

山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習 6

「第1章 縄文時代・文化の枠組み」をまとめてみました。

1 縄文時代の時間的範囲
・土器の出現は最も古い値を採用すると1万6500年前までさかのぼる。この時期は最終氷期にかかっていて、従来のような解釈「土器の出現は、気候の温暖化という自然環境の変化に対応したものである」と単純に理解することを困難にしている。
・縄文時代のはじまりに関する3つの説がある。
1 縄文土器の出現をもって旧石器時代と縄文時代を区分する。
2 土器の普及、一般化をもって区分する。
3 移行期間を設定して、縄文文化的な生業形態・居住形態が確立した段階をもって区分する。

参考 縄文時代のはじまりの頃の年表
過去5万年間の出来事の年表 「縄文はいつから!?」(小林謙一/工藤雄一郎/国立歴史民俗博物館編、新泉社)から引用

・縄文時代のおわりと弥生時代のはじまりを、水田耕作の開始を画期とするならば、九州と東北ではその時期が大きく異なってくる。

参考 縄文時代のおわりと弥生時代のはじまりの頃の年表
パンフレット「令和元年度埋蔵文化財ロビー巡回展 環状石器展」(公益財団法人 千葉市教育振興財団)から引用

2 縄文時代・文化の空間的範囲
・北方域は道東と道北の境が北限となる。 
・朝鮮半島方面とは対馬海峡に境界線を引ける。
・南島は九州南部と連動したり離れたり、時期によって関係が変動する。
・縄文時代前期に見られる石製玦状耳飾りは起源が大陸側にあることは確実である。
・北部九州の後期には貝輪着装女性埋葬例が確認できるが、ベンケイガイ製貝輪は韓国南岸部貝塚からも多数出土していて、北部九州と朝鮮半島南部が同じ貝輪文化圏に含まれる可能性がある。
・福岡県貝塚出土抜歯例は大陸系抜歯と考えられる。
・青銅製の刀子(山形県三崎山)、三足土器(青森県今津遺跡ほか)、有孔石斧(山形県中川代遺跡)などは大陸側からの影響の可能性を捨てきれない。しかし出土状況などで物証として弱い。

3 縄文時代の主人公の姿
・人骨から縄文人の形質はユニークであった。

縄文人の復元想像図
山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)から引用

・ミトコンドリアDNA分析から縄文人に南北二つの系統の人々がいたことがわかり、旧石器時代人の後裔が縄文人であるという考え方を補強する。

0 件のコメント:

コメントを投稿