2020年3月28日土曜日

縄文土器の文様

山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習 10

「第二章 土器使用のはじまり 草創期(Ⅰ期)」の「1 土器の発明がもたらしたもの」の後半を学習します。

1 土器が製作された場所
・縄文全時期を通して、土器の胎土は出土遺跡周辺の地質と類似することが多く、土器は基本的に各地域において製作、消費された可能性が高い(河西2008)。

2 土器の登場の歴史的意義
・世界各地の事例を見ると、すでに旧石器時代にも粘土を焼成して、土偶(ビーナス像)や動物像を製作する技術が存在していたことがわかっている。
→具体例を、機会をみつけて調べてみることにします。
→土器が発明されるはるか以前から土製品がつくられていたことを初めて知りました。

・土器の登場は、幾多の試行錯誤の上に達成された出来事であった。そしてそれはさまざまな資源、道具類の開発・増産を導くことになる、画期的な技術の成立をも射程に入れるものだった。その意味で、土器の登場の歴史的意義は大きい。
→この記述部分について深く学習したい欲が強まりますが、どこに学習材料があるのか知りません。
→土器発明→食糧事情や栄養事情の改善→肉体的・精神的な余裕の発生→生活・活動の改善や道具・社会組織における発明発見の招来→社会発展(人口増加)という好循環が生まれていたに違いありません。

3 縄文土器の文様
・なぜ縄文土器にはさまざまな文様が描かれたのだろうか。この点についてはまだ未解明な点が多いが、アメリカ先住民の事例を参考として、縄文土器の文様が何らかの意味やメッセージを持っていたと考える研究者もいる(小林1977、佐原1987)。たとえば、青森県薬師前遺跡から出土した土器棺には、あたかもワラビが発芽し、芽吹いていく様子を描いたような文様が連作で描かれている(図11)。これなどは、発芽する場面を描くことで生命の再生を祈念したものかもしれない。

図11
山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)から引用

・いくつもの芸術作品をみてもわかるように、現代においてもさまざまな抽象的造形物に具体的な意味やメッセージを込めることは多い。もはや詳細にそれを読み解く術はないが、われわれと同じホモ・サピエンスである縄文人が、土器の器形や文様に何らかの意味やさまざまなメッセージ、場合によっては物語や神話といったものを託していたという可能性は十分にありえると私も考えている。

→著者の記述とは裏腹に、考古学者や専門家の多くは土器文様の意味解明について熱心ではありません。一言でいえば科学的手続きに従えば明快な答えが出るという筋のものではないことが最初から分かっているからです。
→ズバリ言えば、土器文様にいくら意味がありそうでも、興味がうまれても、それにかかわっていては「論文がかけない」「出世できない」からだと思います。その世界にいる人は、土器文様の意味解明に乗り出すとおそらく上司や指導者から快く思われないにちがいありません。
→土器文様の意味を解明することは縄文人の本質を知ることに直結し、大いに意義があります。同時に狭義考古学が太刀打ちできないことは明らかです。無意識解明を含んだ心理学とか神話学とかいろいろな知識援用が必要になります。
→清瀬市郷土博物館内田裕治先生著作は土器文様解明に取り組む素晴らしい活動であると知り、今後その学習を開始したいと思っています。
「柳瀬川縄文ロマン展」2019年11月2日~24日開催 縄文土器編 ホームページ公開版

土器文様に関する私の興味例

称名寺式土器(千葉市餅ヶ崎遺跡)
加曽利貝塚博物館展示物
密生する植物が繁茂する様子を表現しているように感じます。最下段は垂れ下がる実、中段は双葉と右側に伸びる芽を、上段は双葉と左側に伸びる芽を表現しているように感じます。上段左の双葉だけ葉先が上を向いていて特に成長がよく、それがこの土器の正面を示しています。空想を重ねれば、育てている食料としてのマメ類植物を描いているのかもしれません。
2020.02.15記事「許可撮影 称名寺式深鉢形土器(千葉市餅ヶ崎遺跡)観察記録3Dモデル

縄文中期中葉深鉢形土器(飯田市大明神原遺跡)
飯田市上郷考古博物館展示物
男女交合の異なる体位(の局部の様子)が2つ観察できるように感じます。見えない背面にさらに2つ別の体位が描かれていると推測します。
女性が料理を家族によりおいしく食べさせるために、料理道具としての土器をより豪華にしたのだと思います。土器に子孫繁栄をイメージできるおめでたい文様として男女交合の様子を描きこんだと考えます。
2020.01.05記事「縄文中期中葉深鉢形土器(飯田市大明神原遺跡)の模様観察

藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)
伊那市創造館展示物

文様検討
A-a→B-b→C-c→D-dというような大きな模様対応関係があり、起承転結4場面の物語・神話とか、四季に対応した自然や人の生業活動の表現があるような感じを受けます。
類似パネル文土器の文様を多数集めて比較検討すれば、模様構成要素が多数あるだけに、何らかの有用な情報が必ずや獲得できるように素人考えします。
2020.02.02記事「藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の展開写真

4 縄文土器の型式と編年

小林達雄編「総覧縄文土器」から引用

5 縄文時代の社会を考えるための視点
・私は、それらの要素のうちから居住形態、生業形態、集団構造、精神文化の四つを取り上げて、これまで叙述を行ってきた(山田1999・2002など)。
→居住形態、生業形態、集団構造、精神文化の4つの視点でこの図書の学習を進めたいと思います。

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